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東京高等裁判所 平成8年(行コ)162号 判決 1997年6月11日

東京都世田谷区成城三丁目一三番二四号

控訴人(原告)

田中晋平

右同所

控訴人(原告)

田中直

右同所

控訴人(原告)

田中雅子

右三名訴訟代理人弁護士

物部康雄

東京都世田谷区若林四丁目二二番一四号

被控訴人(被告)

世田谷税務署長 松原廣司

右指定代理人

前澤功

堀久司

庄子衛

南幸四郎

主文

一  本件控訴をいずれも棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人らに対し平成四年三月一三日付けでした各昭和六一年分の贈与税の決定及び無申告加算税賦課決定を取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二当事者の主張並びに証拠

当事者の主張並びに証拠は、控訴人らの当審における追加主張並びにこれに対する被控訴人の認否として、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一  控訴人らの当審における追加主張

1  仮に進作と控訴人らとの間で権利の移転があったとしても、進作から控訴人らに本件新株が各代金二億八五〇〇万円で売買により移転したものとみるのが相当である。

2  本件のような第三者割当増資の場合は、当該第三者は、その新株割当てについての合意により、新株引受けと同時に所定の増資払込みを実行する義務を引き受けるのであって、そこに単純な権利の無償譲渡が生じることはあり得ない。

二  右主張に対する被控訴人の認否

いずれも争う。

理由

一  当裁判所も、当審における資料を加えて本件全資料を検討した結果、控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。

その理由は、控訴人らの当審における追加主張に対する判断として、次のとおり付加するほか、原判決理由説示のとおりである(ただし、原判決二五頁一〇行目の「(百瀬洋の申述書)、」の次に「弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第一二号証(山中伸能の陳述書)、」を、同三二頁八行目の「贈与税の」の次に「課税」を、それぞれ加える。)から、これを引用する。

1  控訴人らの当審における追加主張1について

進作から控訴人らに移転した法的地位ないし権利が、本件新株を発行価額で取得し得る地位であり、右地位の移転が、進作への何らの対価の支払なしにされたことは、以上認定説示(引用原判決理由説示。以下同じ)のとおりであるから、控訴人らの追加主張1は理由がない。

2  同追加主張2について

以上認定説示のとおり、控訴人らは、進作から、本件新株を発行価額で取得し得る地位の譲渡を受け、本件新株の時価とその発行価額との差額相当分の利益を受けたものであり、右利益の取得について、進作に対し何らの対価を支払わなかったものであるから、控訴人らの追加主張2も理由がない。

二  以上によれば、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 塩崎勤 裁判官 橋本和夫 裁判官 川勝隆之)

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